【2019年度秋祭振替公演】終演のご挨拶

2019年度秋祭振替公演『刹那、穿って世界を廻せ。』は、無事終演いたしました!
台風により振替公演という形での上演となりましたが、ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。
今後も、ミュージカルサークルEMの活動への応援のほど、よろしくお願いいたします。

本公演の作・演出である長島朱音より、終演の挨拶をさせていただきます。

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先日、ミュージカルサークルEM秋祭公演『刹那、穿って世界を廻せ。』が無事に終演いたしました。
作・演出をつとめました、長島朱音です。

はじめに、台風の影響による公演延期があり、振替日での上演となったにも関わらず、足を運んでくださった皆様、変わらず応援の気持ちを向けてくださった皆様に、心から感謝申し上げます。
舞台はお客様が観て初めて完成するということを、改めて強く実感した日でした。
EMは今後も変わらず舞台づくりを続けていきます。またどこかで、変わらない想いを届けます。今回のことで、残念ながら来ていただくことが叶わなかったお客様も、もう一度会いに来ていただけたら幸いです。

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『刹那、穿って世界を廻せ。』
このタイトルを考えた時は、確か少し反抗的な気分だったと思います。
思い通りに進んでいかない人生、空回りし続ける自分、神様を気取った何かにいいようにされているような感覚、それらが何だか癪にさわって、うんうん文字通り唸りながら考えていた時、自分が大切にしたいと思う「世界」くらいは自分の力でまわしてやる、という思考回路にたどり着いていました。その意志だけは強かったけれど、実際には弱くて脆い自分の、なけなしの勇気でした。

人と向き合うこと。相手を肯定すること、否定すること。自分の想いを伝えること、相手の想いを受け取ること。これらが重なって、「生きる」ということにつながっていきます。1人になるのは簡単だけど、ひとりぼっちは怖い、なんて時々思ったりしますが、人と関わってゆくというのは人生の中で絶対的なものです。
その中で生まれる「後悔」に気づくのは、「死」が人をこの世とあの世に分かつ時なのだと思います。もう取り戻せない瞬間に、人はやっと自分を見つめ直して過ちに気づく。それは明日かもしれないし、もしかしたらこの世でその命を終えた後かもしれません。先のことは誰にもわからない、なんて当然のことですが、だからわたしは今を一生懸命生きようと思うし、あなたにも生きてほしいと思うのです。苦しくても、弱くても、たとえ下を向いてでも、今日を生きてほしいです。この世のどこかに、この世になければ違う場所に、「天使と悪魔」のような、もしくは人間を無闇に死の世界へ連れて行かないあの死神のような、あなたを見守っていてくれる存在は必ずいるはずだから。
この物語には、そんなわたしの勝手な願いを、それでも届けたかった想いをこめながら書いていました。

長くなってしまいましたが、最後に少しだけ感謝を綴って、終演挨拶とさせていただきます。
「天使と悪魔」による「人間更生プロジェクト」。ちょっとした裏話で、この物語の元となるエピソードが生まれたのは今から8年ほど前になりますが、その時からずーっとわたしの話を聞いてくれた、とある友人へ。この物語を今のタイミングで世に出せたことを、12歳のわたしたちが知ったら信じられなくて笑っちゃうのでしょうが、必然だったと確信したい気もします。ありがとう。
そして、公演期間中、一緒に隣を歩んでくれた座組の皆へ。本番までの道のりは今まで以上に凸凹道でしたが、最終的に進み続けることができたのはみんなの力です。作演出を引っ張ってくれて、本当にありがとう。

改めまして、この物語に会いに来てくださった全ての人へ、そして愛を向けてくださった全ての人へ、本当に本当にありがとうございました!今回受け取った想いを零すことのないように、また次へと繋げていきたいと強く思えた公演になりました。

EMの活動はまだまだこれからも続きます。次回は一年生公演。今回2度目の舞台づくりに一生懸命取り組んだ彼らが、自分たちの力で新しい世界をつくりあげます。また足を運んでいただけたら、そして楽しんでいただけたら幸いです。

これからも、ミュージカルサークルEMをよろしくお願いいたします。

作・演出 長島朱音